タラの木を植えてはいけない?トラブルを防ぐ対策と管理術

春の味覚として絶大な人気を誇るタラの芽。自宅の庭で収穫できれば、採れたてを天ぷらにして楽しむ贅沢が味わえます。しかし、タラの木は「安易に植えてはいけない」と警告されることが多い樹木でもあります。その理由と、トラブルを未然に防ぎながら安全に楽しむための具体的な対策を詳しく解説します。

目次

タラの木を植えてはいけないと言われる理由を知っておきたい人へ

山菜の王様として親しまれるタラの木ですが、家庭菜園や庭木としては非常に個性的な、ときには厄介とも言える性質を持っています。知らずに植えてしまうと、数年後には手に負えない状態になり、後悔してしまうケースも少なくありません。ここでは、管理上のデメリットや注意すべき特性を整理してご紹介します。

ひこばえが増えて管理が追いつきにくい

タラの木を植えて最も驚かされるのが、その旺盛な繁殖力です。タラの木は地中の根を横に長く伸ばし、そこから新しい芽(ひこばえ)を次々と地上に芽吹かせます。この「ひこばえ」が曲者で、親株から数メートル離れた場所や、思わぬところから突然生えてくることがあります。

一度根付いてしまうと、放っておくだけで庭のあちこちにタラの木が増えてしまい、まるで竹林のように庭を占領してしまうことさえあります。特に、根が石垣の隙間やコンクリートの割れ目に入り込むと、完全に除去するのは非常に困難です。また、タラの木を伐採しても地中に根が残っていれば、そこから再び芽を出すほど生命力が強いため、計画性のない植栽は避けるべきだと言われています。

管理が追いつかなくなると、他の植物の成長を妨げるだけでなく、庭全体の景観を損なう原因になります。そのため、タラの木を育てる際は、単に苗を植えるだけでなく、根の広がりをどのように制御するかが最大のポイントとなります。

トゲでけがをしやすい

タラの木の大きな特徴の一つに、鋭く硬いトゲがあります。野生のタラの木はもちろん、栽培用の品種であっても、多くの個体には幹や枝、葉の裏に至るまで鋭いトゲがびっしりと生えています。このトゲは非常に硬く、素手で触れると簡単に皮膚を突き刺し、痛みを伴うけがの原因になります。

特に小さなお子さんやペットがいるご家庭では、タラの木のトゲは大きな危険要素です。庭を走り回っているときに誤って接触したり、落ちた枝を踏んでしまったりすると大変危険です。また、春の収穫時期だけでなく、冬の剪定作業や日常の手入れの際にも、このトゲが常に作業の邪魔になります。

最近ではトゲのない「トゲなしタラ」という品種も流通していますが、先祖返りをしてトゲが出てくることがあったり、トゲなしと言いつつ微細なトゲが残っている場合もあります。完全な安全を確保するのは難しいため、タラの木を扱う際は常に厚手の保護具を着用するなど、けがをしないための徹底した準備が欠かせません。

大きくなり剪定の負担が増える

タラの木は成長が非常に早く、放っておくと数年で3メートルから5メートルほどの高さにまで成長します。垂直に真っ直ぐ伸びる性質があるため、高くなりすぎると肝心のタラの芽が手の届かない位置についてしまい、収穫が困難になります。

高い位置にある芽を収穫するためには脚立が必要になりますが、前述の通りタラの木にはトゲがあるため、不安定な足場での作業は非常にリスクが高いです。そのため、毎年適切な高さで枝を切り戻す剪定作業が必須となります。しかし、タラの木は切り戻すとそこからまた脇芽が勢いよく伸びるため、毎年の剪定作業そのものが大きな負担になってきます。

また、大きく成長したタラの木は、冬場に落葉すると棒状の幹だけが目立つようになり、庭の景観を損なうこともあります。常にコンパクトな樹形を維持し、収穫しやすい高さを保つためには、植物の成長サイクルに合わせたこまめなメンテナンスが求められます。

境界を越えてトラブルになりやすい

自分自身の庭だけでなく、隣家との関係においても注意が必要です。タラの木の根は地面の下で縦横無尽に広がるため、境界線近くに植えてしまうと、隣の家の庭や通路からタラの芽がひょっこり顔を出すという事態が起こり得ます。

隣家の方からすれば、望んでもいない植物が勝手に生えてくるのは不快なものですし、それがトゲのあるタラの木であれば、小さなお子さんやペットへの安全面から深刻なトラブルに発展する恐れもあります。また、トゲのある枝がフェンスを越えて隣の敷地にはみ出してしまうことも、よくあるトラブルの原因です。

一度境界を越えて根が入り込んでしまうと、自分の敷地内で根を切っても、隣の敷地側に残った根から再生を繰り返すため、完全な解決が難しくなります。近隣住民との良好な関係を維持するためには、植える場所を慎重に選ぶか、物理的に根を遮断する対策を確実に行うことが不可欠です。

タラの木を安全に育てるためのおすすめ対策グッズ7選

タラの木の特性を理解した上で、しっかりと対策を講じれば家庭でも安全に栽培することは可能です。特に「根の広がりを抑えること」と「トゲから身を守ること」に重点を置いた道具選びが重要です。ここでは、タラの木栽培をサポートする便利なグッズをご紹介します。

防根シート(根止めシート)

タラの木の根が際限なく広がるのを物理的に防ぐための必須アイテムです。地面に深い溝を掘り、このシートを垂直に埋め込むことで、根が隣地や庭の他エリアへ侵入するのを遮断します。厚手で貫通耐性が高いものを選ぶのがポイントです。

項目詳細
商品名防根・防竹シート(強力タイプ)
特徴高密度で植物の根の貫通を防ぐ、耐候性に優れたシート。
公式サイト白崎コーポレーション

ルートバリア(根系進入防止材)

ルートバリアは、特に樹木の根をコントロールするために設計された高機能な資材です。シート状のものや不織布タイプがあり、植え穴の周囲を囲うように設置することで、タラの木の「ひこばえ」が発生する範囲を一定区域内に閉じ込めることができます。

項目詳細
商品名ルートバリア
特徴樹木の根を誘導・抑制し、構造物や配管を根から守る専用材。
公式サイト小泉製麻株式会社

あぜガード(根域ガード)

農業で田んぼのあぜ道を作る際に使われる「あぜガード」も、タラの木の根止めに非常に有効です。波状のプレートになっており、つなげて円形にすることで簡易的な根域制限用の囲いを作ることができます。ホームセンターなどで手に入りやすく、施工も比較的簡単です。

項目詳細
商品名あぜガード(あぜ板)
特徴丈夫な樹脂製で、土中に埋めるだけで簡単に根の広がりを抑制。
公式サイトサンポリ

トゲがささりにくい園芸手袋(セフティー3等)

タラの木のトゲ対策には、一般的な軍手ではなく、耐刺切性に優れた専用の手袋が必須です。セフティー3などのブランドから発売されているハードタイプの手袋は、トゲの貫通を最小限に抑え、安心して作業を進めることができます。

項目詳細
商品名セフティー3 トゲがささりにくい手袋
特徴合成皮革や特殊素材を使用し、バラやタラの木のトゲをガード。
公式サイト藤原産業株式会社

ロングタイプのローズグローブ

手首から肘までをカバーできるロングタイプの手袋は、タラの木の茂みに手を入れる際に非常に役立ちます。枝が重なり合っている場所でも、前腕をトゲから守ることができるため、収穫や剪定作業の安全性が飛躍的に向上します。

項目詳細
商品名ロング腕カバー付園芸手袋
特徴腕全体をトゲから保護するロング仕様。バラや有刺植物の管理に。
公式サイト東和コーポレーション

折込鋸(シルキー ゴムボーイ等)

タラの木は数年で幹が太くなるため、ハサミだけでは管理しきれません。シルキーのゴムボーイのような切れ味の良い折込鋸があれば、太くなった幹の更新作業や不要な大枝の切断が驚くほどスムーズに行えます。

項目詳細
商品名シルキー ゴムボーイ(万能目)
特徴世界的に評価の高い切れ味。折込式で持ち運びも安全。
公式サイトユーエム工業(シルキー)

剪定鋏(アルス VS-8Z等)

日常的なメンテナンスや収穫後の枝整理には、プロも愛用するアルスの剪定鋏がおすすめです。軽い力でスパッと切れるため、硬いタラの枝を切る際の手の負担を軽減できます。耐久性も高く、長く愛用できる一品です。

項目詳細
商品名アルス 剪定鋏 ブイエスエイト(VS-8Z)
特徴抜群の切れ味と握りやすさ。プロの現場でも定番の高品質鋏。
公式サイトアルスコーポレーション

それでも植えるなら後悔しない育て方に整える

タラの木のリスクと対策グッズがわかったところで、次は具体的な育て方のルールを決めましょう。闇雲に植えるのではなく、事前にしっかりとした計画を立てることで、タラの木との快適な暮らしが実現します。後悔しないためのポイントを4つの視点でまとめました。

植える場所は通路と境界から離す

タラの木を植える場所を選ぶ際は、「トゲの危険性」と「根の広がり」を第一に考えましょう。庭のメイン通路沿いに植えてしまうと、通るたびに服を引っ掛けたり、怪我をしたりするリスクが高まります。また、隣家との境界線ギリギリに植えるのは、前述の通りトラブルの元になるため絶対に避けましょう。

理想的なのは、庭の隅で、かつ周囲に十分なスペースがある場所です。また、タラの木は日当たりを好みますが、半日陰でも育つため、ある程度場所の融通は効きます。ただし、建物から近すぎると外壁を傷つけたり、基礎の近くまで根が入り込んだりすることもあるため、構造物からも一定の距離を保つようにしてください。

植栽場所を決定する前に、その場所でタラの木が3メートル以上に成長し、周囲に根が数メートル広がる様子を具体的にイメージしてみることが大切です。余裕を持った配置が、将来の自分の手間を減らすことにつながります。

根域制限を前提にして植え付ける

タラの木の繁殖をコントロールする最も確実な方法は、最初から「根の広がる範囲を制限する」ことです。庭に直接植えるのではなく、大型の不織布ポットやプラスチック製の根域制限バッグに植えてから、そのバッグごと土に埋めるという手法が非常に有効です。

これにより、根が周囲に逃げ出すのを防ぎ、「ひこばえ」の発生を最小限に抑えることができます。もし地植えにする場合は、先ほど紹介した防根シートやあぜガードを使い、深さ50cm程度まで垂直に壁を作るように囲ってください。タラの木の根は比較的浅い部分を横に走るため、この程度の深さがあればかなりの抑制効果が期待できます。

また、鉢植えで育てるという選択肢もあります。鉢植えであれば根が広がる心配はありませんが、乾燥に弱くなるため水やりの管理が必要です。管理の手間とリスクのバランスを考えて、自分に合ったスタイルを選びましょう。

ひこばえは早めに処理する

どんなに根域制限をしていても、わずかな隙間から根が逃げ出し、ひこばえが生えてくることがあります。ひこばえを見つけたら、「小さいうちに、根元から切り取る」ことを徹底してください。まだ芽が柔らかいうちに処理してしまえば、トゲの被害も少なく、作業も簡単です。

「もったいないから」と放置してしまうと、そこから新しい主幹が育ち、あっという間に大きな木になってしまいます。また、ひこばえを放置することは、親株の栄養を分散させることにもなり、収穫するタラの芽の品質低下を招くことにもつながります。

庭を回る際にひこばえをチェックする習慣をつけることが、タラの木を飼い慣らすコツです。見つけ次第、剪定鋏や小さな鎌で地際からカットしましょう。このひと手間を惜しまないことが、庭がタラの木に占領されるのを防ぐ唯一の方法です。

収穫と剪定のルールを決める

タラの木栽培を長く楽しむためには、収穫と剪定をセットで考えるルール作りが重要です。タラの芽の収穫時期は春ですが、収穫が終わった直後に、その枝を適切な高さで切り戻すのが基本です。これを「切り戻し剪定」と呼びます。

一般的には、収穫後に地面から50cm〜1メートル程度の高さで幹をバッサリと切り落とします。こうすることで、翌年にはそこから新しい枝が伸び、再び収穫しやすい低い位置に芽がつきます。このサイクルを守ることで、木が巨大化するのを防ぎ、毎年安定した収穫を楽しむことができます。

また、「芽を全部採り尽くさない」ことも大切です。すべての芽を摘んでしまうと木が弱って枯れてしまうため、必ずいくつか芽を残して光合成ができるようにしてあげましょう。収穫の喜びと木の健康管理のバランスを保つことが、持続可能なタラの木栽培の鍵となります。

タラの木と庭の暮らしを両立させる判断ポイント

ここまで解説してきた通り、タラの木は魅力的な収穫物をもたらしてくれる一方で、管理にはそれなりの覚悟と準備が必要です。最終的に庭に植えるかどうかを判断する際は、以下のポイントをセルフチェックしてみてください。

まず、毎年欠かさず剪定やひこばえの処理を行う「時間の余裕」があるかどうかです。タラの木は放置されることを最も嫌う(あるいは放置すると最も暴れる)樹木です。次に、トゲによる怪我のリスクを許容できるか、あるいは適切な防護具を揃える意思があるかを確認しましょう。

そして何より、近隣への配慮を継続できるかが重要です。もしこれらに不安を感じるようであれば、トゲのない品種を選んだり、より管理しやすい鉢植えからスタートしたりするのが賢明です。タラの木の特徴を正しく理解し、適切な道具と管理方法を取り入れることで、春の味覚を自宅で楽しむ豊かな暮らしをぜひ実現させてください。

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この記事を書いた人

家という空間を、心地よさや文化の面から見つめ直す記事を執筆しています。地域の風土や素材、住まいのデザインなど、長く愛される住宅のかたちを紹介しています。「暮らしを考えることは、未来を設計すること」という想いで、豊かな人生とは何かを研究してます。

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