新築の床鳴りは入居後すぐに気づくことが多く、放置すると暮らしの不安につながります。保証期間や対応手順をあらかじめ確認しておくと、早期に適切な補修を受けやすくなります。ここでは、保証の種類や期限、音の見分け方、業者とのやり取りで押さえるポイントを分かりやすくまとめます。
新築の床鳴りと保証期間を入居前に確認するべき理由
新築でも床鳴りが起きることはありますが、発生時に保証でカバーされるかどうかは保証の内容や起算日に左右されます。入居前に契約書や保証書で対象範囲や期間、連絡先、対応の流れを確認しておくと、問題発生時に慌てずに対応できます。
あらかじめ確認しておきたいのは、どのような症状が対象になるか、申請から点検までの期間、優先対応があるかどうかです。特に入居直後のトラブルは写真や動画の記録が残りやすく、証拠として有利になります。工務店やハウスメーカーによっては独自のアフターサービス期間や条件があるため、引き渡し時に担当者から説明を受け、疑問点はその場で質問しておきましょう。
保証期間の起算日が引き渡しか検査完了日かによって対応できる期間が変わるため、書面で確認しておくことが重要です。入居してから気になる音が出たら、早めに記録を取り連絡することで、修理の優先度や費用負担の有無を明確にできます。
早めに点検を依頼すると対応が受けやすい
床鳴りに気づいたら早めに点検を依頼することが大切です。初期に対応すると原因特定が容易で、保証適用もスムーズになりやすいです。放置すると被害が広がったり、施工後の自然変化と判断されて対応が難しくなる場合があります。
点検依頼は書面やメールで行い、依頼日時と要点を明記してください。電話のみだと記録が残りにくいため、後で争いになった際に不利になることがあります。点検の際は立ち会いが可能であれば状況を直接伝え、疑問点や希望する対応を伝えておくと良いでしょう。
点検後は報告書や点検結果の書面を受け取り、写真や修理内容、今後の注意点を確認してください。必要なら複数回の点検やセカンドオピニオンも検討すると安心です。
写真と動画で音と状況を証拠に残す
床鳴りの発生時は写真と動画で記録を残しておきましょう。音のタイミングや発生場所を示す短い動画、床の隙間や変色箇所の静止画があると原因追及に役立ちます。撮影日時が分かる状態で保管してください。
動画は複数の角度や歩き方を変えたものを用意するのがおすすめです。音声だけでなく動作(歩幅や体重のかけ方)も伝わるように撮影すると業者側が再現しやすくなります。写真は問題箇所の周辺も含め、全体と拡大の両方を撮ると良いです。
これらはメール添付やオンラインのサポート窓口に提出でき、後のやり取りで重要な証拠になります。保存期間は保証期間と同程度は保管しておくと安心です。
法的な10年保証とメーカー独自の保証の違い
法律で定められた構造耐力上主要な部分や雨漏りに関する瑕疵担保責任は10年が目安とされていますが、これは建築会社の瑕疵に対する免責期間に関連します。一方で床材や内装などはメーカーや施工会社が独自に設定する保証期間が適用されることが多いです。
独自保証は期間が短い場合や適用条件が細かい場合があるため、対象範囲や免責事項を確認してください。たとえば、経年変化や自然乾燥による音は保証対象外になるケースがあります。契約時には法律上の責任範囲と会社独自の保証を混同しないようにしましょう。
保証を利用する際の連絡先や申請方法、必要書類も会社によって異なります。引き渡し時に提示される保証書や説明書に目を通し、不明点は書面で確認しておくと安心です。
起算日と期限を契約書で必ず確認する
保証期間の起算日がいつからかで対応可能な期間が変わります。一般的には引き渡し日や検査完了日、あるいは入居日が起算日になることが多いので、契約書や保証書で明確に確認してください。
起算日の扱いはトラブル時に重要な争点になります。引き渡し後に長期間放置してから問題を申請すると、期限切れを理由に対応を断られることがあるため、発生時点で早めに記録と連絡を行うことが必要です。
契約書の文言がわかりづらい場合は、書面を撮影して関係者に確認を取り、担当者に起算日の証明を求めるとよいでしょう。必要なら専門家に相談して解釈を仰いでください。
生活に支障が出る場合は優先対応を求める
床鳴りが歩行や睡眠に影響するなど生活に支障を与える場合は、業者に優先対応を申し入れることが重要です。緊急性を伝える際は、具体的な影響(例えば夜間の睡眠が妨げられている等)を明確に伝えましょう。
優先対応が認められると早期の点検や仮対応が行われる場合があります。対応可否やスケジュールは書面で確認し、合意内容はメールなどで残しておくと後で確認しやすくなります。
業者が応じない場合は、管理会社や施工会社の上位部署に連絡する、第三者機関に相談するなどの手段を検討してください。記録を残すことが後々の解決に役立ちます。
業者対応が不十分な場合の相談先
業者対応に不満がある場合は、まずは施工会社の苦情窓口や管理会社に連絡して記録を残してください。それでも解決しない場合は消費生活センターや住宅紛争処理機関に相談が可能です。
地方自治体の相談窓口や建築士会などの専門団体も現地調査や助言をしてくれることがあります。必要なら弁護士に相談して法的手続きを検討することもできますが、まずは第三者機関を通じた調整を試みると解決が進みやすいです。
相談する際は契約書、保証書、写真・動画、点検記録などの証拠を整理して提示できるようにしておくとスムーズです。
保証期間の種類と期限ごとに確認するポイント
保証には法律上の瑕疵担保、施工会社やメーカーの独自保証、短期のアフターサービスなどいくつかの種類があります。どの保証がどの範囲をカバーするかを把握しておくと、問題発生時に適切に申請できます。
契約書や保証書を見て、対象箇所、免責事項、起算日、申請方法、必要書類を確認してください。特に内装や設備は会社ごとに差があるため、具体的な適用条件を把握しておくことが重要です。保証の期限内に適切に連絡することが基本となります。
品確法が定める10年の瑕疵担保の範囲
品確法では構造耐力上主要な部分や雨漏りについて一定の瑕疵担保責任が求められており、一般的に10年が基準とされています。これは基礎や主要構造部分など、住宅の安全性に直結する部分が対象です。
床鳴りがこの範囲に入るかは、原因が構造的欠陥(例えば床下地の不適切な施工や基礎の問題)であるかによって判断されます。表面的な床材の乾燥による音や経年変化は対象外とされることが多いため、原因特定が重要になります。
法的な保証を頼る場合は、専門家による調査報告や点検記録を用意しておくと対応が有利になります。行政の相談窓口で判断基準を確認するのも一つの方法です。
多くの会社が採用する2年のアフター保証の位置づけ
多くのハウスメーカーや工務店は、引き渡し後数年程度のアフターサービスを設けています。2年程度の保証は、初期不良や施工上のミスに対する対応期間として扱われることが多いです。
この期間は内装や仕上げ材の不具合をカバーする場合がありますが、詳細は会社ごとに異なります。適用条件や申請方法、免責事由を確認しておくと安心です。短期保証は迅速な対応が期待できるため、入居後に不具合を見つけたらなるべく早く連絡することが大切です。
設備と内装で一般的に異なる保証期間
給湯器やエアコンといった設備はメーカー保証が適用されることが多く、期間や条件は設備ごとに異なります。内装や床材は施工会社の保証や素材メーカーの保証が適用され、こちらも期間差が出ることが一般的です。
設備は消耗品扱いとなる場合があり、メーカー保証で部品交換や修理が受けられることがあります。内装は施工の仕上がりや材料の性質が評価基準となるため、保証範囲を確認しておくと対応がスムーズです。
起算日が引き渡しか完成かを確認する方法
保証の起算日がどこに設定されているかは保証書や契約書に明記されていることが多いです。引き渡し日、完了検査日、着工日など、どの日付が基準かを契約書で確認してください。
不明瞭な場合は担当者に書面で確認を求め、メールや書面で記録を残すと後で有効です。起算日が曖昧だと期限に関する争いになることがあるため、早めに確認しておくことをおすすめします。
保証書の免責条項や適用条件の見方
保証書には免責条項や適用条件が記載されていることが多く、自然損耗や使用上の過失は対象外となることがあります。どのようなケースが免責されるかを読み、疑問点は担当者に確認してください。
例えば、床材の経年変化や家具の設置による傷、自己改造による不具合などは保証対象外とされることがあります。免責条項を把握しておけば、適切な申請と対応がしやすくなります。
床鳴りの原因と音で判断できるポイント
床鳴りの原因は複数あり、音の種類や発生場所、タイミングからある程度原因を絞ることができます。まずは音の特徴を記録し、後で業者に伝えられるようにしておきましょう。
気になる音を日付・時間・状況(歩行方法や荷重)と一緒に記録しておくと、専門家が診断する際に役立ちます。以下では音の種類ごとに考えられる原因を整理します。
木材の乾燥や伸縮で起きるきしみの特徴
木材は湿度や温度で収縮・膨張するため、季節や室内環境の変化によってきしみ音が出ることがあります。この音は比較的軽い不快音で、歩行時に間欠的に発生するのが特徴です。
発生場所が床材表面やフローリングの継ぎ目付近である場合、材料の動きが原因のことが多いです。室内の湿度管理や緩衝材の調整で改善することもありますが、施工の仕方によっては保障対象となることもあるため、まずは記録を残して点検を依頼してください。
釘やビスの摩耗で出る金属的な音の兆候
金属的なカチッという音や金属が擦れるような音は、釘やビスの緩み、摩耗が原因であることが多いです。歩行や体重の移動によって金具が動き、接触音が発生します。
この場合は局所的に音が集中することが多く、叩いてみると音が強い箇所が特定できます。早めに点検を受けて緩みや欠損箇所を補修してもらうと、悪化を防げます。
下地のズレや欠損が作る低めの音の見分け方
床の下地材がズレたり欠けたりすると、低めで響く音が出ることがあります。この音は歩行時に持続的に響き、音が広がりやすいのが特徴です。
下地の問題は構造に関わる可能性があるため、音の広がりや振動を感じる場合は早めに専門家に点検してもらうことが重要です。下地の修理は比較的大掛かりになる場合があるため、保証や費用負担の確認も必要です。
シロアリや腐食が疑われる場合の注意点
シロアリ被害や木材の腐食による床鳴りは、空洞感のある音や歩くとギシッと沈む感覚を伴うことがあります。被害が進むと床材の強度が低下し、安全性にも影響します。
このような疑いがある場合は速やかに専門の調査を依頼してください。生物的な被害は放置すると拡大するため、早期発見と対応が重要です。点検報告書をもとに保証適用や補修方法を確認しましょう。
施工ミスで発生する典型的なケース
施工不良による床鳴りは、下地の不均一や接着不足、釘の打ち方の誤りなどが原因で発生します。発生箇所が特定しやすく、短期間で症状が出ることが多いのが特徴です。
施工ミスと判断されれば保証の対象となる可能性が高いため、引き渡し時の状態や点検記録、立ち合い時のメモが役立ちます。業者に連絡して現場確認と補修を依頼しましょう。
音の発生場所から原因を絞る方法
音が出る場所を正確に把握することで原因を絞りやすくなります。例えば廊下だけ、居室の端だけ、家具周辺だけなど、発生パターンを記録しておくと診断が早まります。
歩く方向、体重のかけ方、靴の有無など条件を変えて試してみると原因特定に役立ちます。詳細なメモと動画を準備して業者に伝えることで、適切な点検と修理につながります。
保証を使って床鳴りを直す流れと交渉で押さえる点
保証申請から補修完了までの流れを知っておくと、対応がスムーズになります。業者との交渉では、記録と証拠を揃え、優先度や費用負担について明確に話を進めることが重要です。
以下に準備すべき情報や、点検で確認される項目、補修方法と判断基準などをまとめます。トラブル時に冷静に対応できるよう、手順を把握しておきましょう。
業者へ連絡する際に用意する情報
業者へ連絡するときは、発生日時、発生場所、症状の詳細、写真や動画の有無、保証書のコピーを用意してください。連絡手段はメールや書面を使い、やり取りは記録として保存しておくとよいです。
連絡時に希望する対応(点検希望日時や立ち合いの可否)も伝えると話が進みやすくなります。緊急性が高いと判断する場合は、その旨を明確に伝え優先対応を求めてください。
写真動画と現場メモで残すべき点
写真や動画は、音の発生状況、床の状態、周辺環境を網羅するように撮影してください。現場メモには発生頻度、歩行時の条件、体重移動や家具の有無などを記載しておくと専門家に伝わりやすいです。
撮影は日時が分かるように行い、複数回記録を残すと変化が判りやすくなります。これらは後のやり取りで重要な証拠となります。
点検で確認される主要なチェック項目
点検では、床材の浮き、下地の状態、釘・ビスの緩み、接着状況、湿度や温度による変化の有無などが確認されます。場合によっては床材の一部をめくって下地を直接確認することもあります。
点検結果は書面で受け取り、修理内容や費用負担の判断材料としてください。納得できない点があれば追加調査を求めることが可能です。
補修方法の例と判断の基準
補修は簡易なビス増しや釘の打ち直し、接着剤の注入、下地の補強、徹底的な張替えなど多様です。症状の程度や原因によって方法が選ばれます。
判断基準としては、音の再発防止効果、修理後の耐久性、工事の影響範囲(家具移動や生活への負担)を比較して決めると良いでしょう。業者に複数案を提示してもらい、説明を受けてから決定してください。
費用負担が発生するかの見極め方
費用負担は原因と保証内容によって決まります。施工不良や構造的欠陥が原因なら保証でカバーされる可能性が高いですが、経年変化や使用上の原因は自己負担になることが多いです。
見極めのためには点検報告書と保証書の内容を照らし合わせ、明確な根拠をもって業者と費用負担について協議してください。必要なら第三者の鑑定を依頼する方法もあります。
DIYで直せるケースと注意点
軽度のきしみやビスの緩みなどはDIYで対処できる場合があります。簡単な補修は費用を抑えられますが、自己修理が保証を無効にすることがあるため、事前に保証書や業者に確認してください。
誤った処置は状況を悪化させることがあるため、作業に自信がない場合は専門業者に依頼する方が安全です。作業前に写真や状態を記録しておくと後で役立ちます。
対応が進まないときの第三者相談窓口
業者対応が進まない場合は消費生活センターや住宅紛争処理支援センターに相談してください。地方自治体の建築相談窓口や建築士会も助言や調査を行ってくれることがあります。
相談の際は契約書、保証書、写真・動画、点検報告書などを整理して提示するとスムーズです。第三者の介入で解決が進むことが多いため、早めに相談するのがおすすめです。
入居後に必ず確認しておきたいチェックリスト
入居後すぐに確認しておきたい項目をリストにまとめます。早期に記録を残しておくことで、床鳴りやその他不具合発生時に対応がしやすくなります。
- 引き渡し書類と保証書の保管場所と起算日の確認
- 住戸内の床全体を歩いて音の発生箇所をチェックし記録
- 発生した音の写真・短い動画を撮影し日時を保存
- 家具配置や重心のかかり方をメモしておく
- 気になる点はメールや書面で業者に連絡し記録を残す
- 点検や修理の際は立ち会い、報告書を受け取る
- 施工会社のアフター窓口や自治体の相談窓口の連絡先を控える
これらを実行しておくと、床鳴りが発生した際に迅速かつ適切に対応できます。必要な記録を整えておくことが、問題解決の第一歩になります。

